ジャンプ力に定評のある前田

ジャンプ力に定評のある前田が書くブログ

卒展で作品の一部として募金コーナー設けたら博物館の方に怒られた話

現在、美大や芸大の卒業制作の展覧会が全国各地の美術館や博物館で行われています。

僕も建築学生なので、同じように一般の人向けの展覧会があります。

 

建築学生の卒業制作と言ったら卒業“制作”なので建築模型を提出するのが暗黙の了解(卒業要件には特に指定なし)みたいなものなんですが、僕は作りませんでした。

 

理由は単純です。

 

作るほどの情熱が無かったからです。

 

模型を作らないことを決めたものの、

卒業制作で模型を提出しなかった人はこれまでにいないらしく、

周りの人は僕の卒業をめちゃくちゃ心配してました。

 

しかし、僕はそれでも卒業する自信がありました。

僕はいい感じにそれっぽく見せるのが得意なんです。

 

 

模型の代わりに提出したもの 

僕が模型の代わりに提出したのはこれです。

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敷地の形をした段ボールです。

僕はこれを提出して卒業しました。

 

そもそも僕は「スタジアムに幾らかけてるんだ、もう、その辺の道路ででもやれよ」という東京オリンピックへのアンチテーゼ的なテーマの作品を作っていました。

(もちろん、本当にそう思っているわけでなく作品には『皮肉』があるとウケやすいと考え、戦略的にこのテーマにきめました。オリンピックは楽しそうだからいっぱいやったらいいと思う)

 

なので僕は、新国立競技場が建設中の敷地をかたどっただけの、建物が配置されていない段ボールを用意して「あんな建築はいらない」とドヤ顔でプレゼンしたんです。

 

心に訴えかけるようにゆっくりと、いい感じに間を開けながらです。

(話す内容がそこまでないからそうするしかない)

  

プレゼン中に「もちろん模型もちゃんとあります。こちらです。」と言って

この質素な段ボールを出した時は会場がざわつきました。

 

とある先生は笑い、とある先生はキレていて、ずっと座って他の学生の発表を聞いていたとある先生は立ち上がりました。

 

優秀賞を決める先生方の投票タイムでは3票入ってました。

 

で、無事合格し、卒展に出さなきゃいけなくなるわけです。

 

 

卒展の準備で事件は起こる 

建築への情熱を失った僕にとって面倒なイベントではありますが、

やっぱり来てくれる人にはこう「ふふ」って笑って欲しいので展示の仕方を考えました。

 

ちなみにもう一度敷地の形をした段ボールを使うのは僕が面白く無いのでやめました。

 

まず、図面の貼り方なんですけど、仕方ないことですが会場全体で図面がぎっしり並びすぎていて、どこまでが誰の作品か分からない様な感じになっていました。

 

僕は本当は8枚図面あったんですけど、周りの人との余白をつくるために

思い切ってメインビジュアル一枚のみを貼る事にしました。

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これで際立たせることができると考えました。

 

 

そして模型の代わりに募金箱を設置したんです。f:id:meadameada:20170215190252j:image

 

 

とは言っても寄付先は小池都知事では無く、あくまで、一般人の「小池さん」ということにしました。

 

作品の一部とはいえ、募金するひとも現れる可能性があるので、詐欺にならない様に隣に大きく、

一般人の小池さんのプロフィールを用意しておき、実際にその人に寄付するところまでを考えていました。

 

▼展示イメージ

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当日は、部屋が薄暗くなり照明の演出が加わりますが、

照明の光はこの募金コーナーに当てようと考えていました。

 

 

 

そうやって光によって演出された募金が目に入った人が次に見るのがキャプション(説明文)です。

これは考えるのがめんどくさくなったので適当に書きました。

 

 

 

 

 

全体としてはこんな感じになりました。

右のやつは違う人の作品です。

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しかし、博物館の方から「募金を作品の一部にするのはクレームつけられるからやめてね」と注意されてしまいました。

 

 

やっぱりお金が関係してくるのでジョークでも問題が生じるとのこと。

一般人の「小池さん」であることが、分かるように隣に大きなプロフィールがあったとしても、それを見ずにオリンピック=小池都知事だと思って募金する人がいるかもしれないからマズイね。と諭すように言われました。

 

で、ぼくもこの作品とか展示にめちゃくちゃこだわりがあるかと言われると、そうでも無いのであっさり募金はやめました。

 

模型なしでも来てくれる人を楽しませたいけど、面倒を起こしてまでは…という感じなので。

募金は取り下げました。

 

そして時間も無かったので「もうこれでいいや」となって結局足元には模型も募金も無い状態となりました。

 

つまり、残ったのはメインビジュアル一枚と適当に書いたキャプション…

 

実際に当日のように部屋を薄暗くされた時に

これはアカンと思いました。

 

その様子がこちらです。

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無駄に演出されてしまってる。

 

めちゃくちゃ演出されてるくせに近づいてキャプションを見たらこれである。

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周りの人はキャプションに「建築の記憶を後世に〜」とか「透明性の異なる抽出されたデザインエレメントが〜」とかすげえいい感じの賢そうなこと書いてるのに、

僕の場合、ただのアホみたいになってる!

 

でももう準備は終わってしまった...

明日からの展覧会はこのままでがんばります....